蛍光X線式膜厚計

蛍光X線式膜厚計の測定原理

物質にX線を照射するとその物質中に含まれる元素に固有なスペクトル(波長、エネルギー)のX線が放出されます。この二次X線を蛍光X線といいます。
物質から放出される蛍光X線の量は、物質中に含まれる各元素の量に依存しています。
したがって、下地(素地)に皮膜(めっき)が施された試料の場合、皮膜からの蛍光X線量は皮膜の厚さに依存するので、皮膜の厚さが既に明らかな試料と比較測定することにより、膜厚の厚さを正確に求めることができます。

蛍光X線式膜厚計の測定原理

蛍光X線式膜厚計の特長

  • 蛍光X線は金属の原子番号によりエネルギーが異なり、この電位の違いと強度を使用することにより、単層の皮膜のみでなく二層、三層、合金皮膜の膜厚を測定することができます。
  • X線の照射範囲を絞ることにより、 微小範囲の膜厚を測定することができることから、小物部品の測定に適しています。
蛍光X線式膜厚計の特長

使用例

  • 鉄上の亜鉛めっきの膜厚測定。例:ボルト・ナット等に施された亜鉛めっきの膜厚管理。
  • Cr/Ni/Cu、プリント板上のAu/Ni/Cu等、多層めっきの膜厚測定
  • Zn-Ni等、合金めっきの膜厚測定
  • その他各種めっき膜厚の測定

電解式膜厚計

電解式膜厚計の測定原理

めっき皮膜を陽陰極電解法で溶かして膜厚を測定するもので、「めっき皮膜の一定面積を一定電流にて陽極電解すると、皮膜を溶解する時間が皮膜の厚さに比例する」という『ファラデーの法則』を応用してめっき厚を測定する方法です。(陽極電解回路は図1を参照)めっき皮膜の終点は測定部を一定電流で溶解する為皮膜金属が無くなり、下地金属が現れると陽極電圧が変化し、この電圧変化を検出して測定を終了します。(図2を参照)

図1 陽極電解回路
図2 陽極電位変化図

電解式膜厚計の特長

  • 破壊式の測定方法ですが簡単に測定ができ、多層めっきの測定可能
  • ダブルニッケル、トリニッケルを各層ごとに膜厚・電位差を測定可能
  • 銅に錫めっきを行った際に出来る純錫層と合金層の膜厚を分けて測定可能
  • X線では測定不可能な厚み(300μmまで)のめっきを測定できる
  • ワイヤーテスターを使用することで細いワイヤーへのめっき膜厚を測定可能

使用例

  • 錫めっき線(銅線に錫めっきを施したもの)の純錫層の膜厚測定
  • 自動車の外装部品に使用されているCr/Ni/Cuの3層めっきの測定
    また、そのNiめっきに採用されているダブルニッケル・トリニッケルの電位差測定
  • 非破壊式膜厚計の測定値に対するクロスチェック

渦電流式膜厚計

渦電流式膜厚計の測定原理

高周波電流を流したプローブ ( 測定子コイル ) を金属に接近させると、金属表面部に渦電流が生じます。
この渦電流は、高周波磁界の強さ・周波数・その金属の導電性・厚さ・形状等により影響を受け、浸透深さ及びその大きさが異なります。
そして渦電流はプローブの高周波磁界を打ち消すように流れ、プローブの高周波抵抗値が変化します。
この高周波抵抗の変化の大きさは、一般的に膜厚値に比例していません。
内蔵又はユーザー作成の特性カーブ ( 検量線 ) に照らし合せて膜厚値に換算します。

渦電流式膜厚計の測定原理

渦電流式膜厚計の特長

  • 金属上のほとんどの皮膜(アルミ上の酸化膜・鉄上の亜鉛・クロム等のめっき・塗装)、
    又は非金属上ほとんどの金属皮膜(プラスチック上のめっき等)を測定可能。
  • 短時間(1秒以内)に非破壊で測定可能な為、全数検査に最適。
  • 曲面・球体面・パイプ等の内面(φ12.7mm以上)の測定可能。

使用例

  • 樹脂上のアルミ薄膜の測定。例:自動車ヘッドランプの反射板に施されたアルミ蒸着(100nm~)の品質管理。
  • アルミ上のアルマイトの膜厚測定
  • 鉄上の亜鉛めっきの膜厚測定(蛍光X線式膜厚計との併用)
  • セラミックス上のNiめっきの膜厚測定

電気抵抗式膜厚計

電気抵抗式膜厚計の測定原理

導電性の被測定物の定めた区間に一定電流を流し、その区間内の一定距離に発生する電圧を膜厚に換算します。
プリント基板上の銅箔に4本のピン(探針)を立てます。この探針の外側2本に電流を流し、内側の2本の探針に発生する電位差を測定することで銅箔の厚さを求めることが出来ます。

測定原理
膜厚計基本構成

電気抵抗式膜厚計の特長

  • プリント基板用銅箔の厚み測定において、銅箔が一層(片面配線)の場合は渦電流式膜厚計でもよいが、銅箔が多層(両面配線以上)になっている場合は下層の銅箔による影響が出て、厚みが正確に測定できません。
    電気抵抗式は表面層のみに電流を流し、銅箔の厚さを測定するため、下層(中間層や裏面)の影響を受けず正確な測定ができます。

使用例

  • 多層基板の表層の銅箔厚さ測定
  • 非金属上の金属皮膜の膜厚測定

ベータ線式膜厚計

ベータ線式膜厚計の原理

ベータ線式膜厚計は線源(放射性同位元 素 Pm-147,Tl-204,etc)から放射されるベータ線を物質に照射すると、物質内部の原子との相互作用により一部は吸収,一部は透過、また一部は後方に散乱します。
この後方に散乱したベータ線量をG・M管で検出計数して膜厚に変換します。後方散乱の量は原子番号が大きいほど大きくなります。
皮膜と素地の原子番号の差が大きいと測定がしやすくなります。
また、測定の際には導電性や磁性・非磁性には影響されません。

ベータ線式膜厚計の原理
ベータ線式膜厚計の原理

ベータ線式膜厚計の特長

  • 精密微細部品、貴金属の薄めっきを非破壊で測定できる。
  • 非金属上の非金属被膜の測定が可能。

使用例

  • Ti上のPtめっきの膜厚測定。
  • プラスチック上の塗料の膜厚測定。例:自動車のヘッドライトカバーに使われる塗料の膜厚測定。
  • 強磁性体(ネオジウム等)上の塗料の膜厚測定
  • Zn/Fe上の塗料の膜厚測定

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